あなたと恋の始め方①
小林さんは静岡に来てから、高校の時の話をたまにしてくれるようになった。今まで、東京の本社営業部に居る時も小さい時の話とか大学の話はよくしてくれたのに、高校の話だけは中々してくれなかった。それだけ小林さんの中で高校での思い出が深く、そして、胸の中に痛みを残しているのかもしれない。私に気付かれないように平静を装っているけど、高校での思い出は小林さんにとって苦しいものなのだろう。
小林さんが幼い時から打ち込んでいた野球を決別したのは甲子園での肩の故障だった。プロからも話は来ていたのに、それでもそれを断らないといけないくらいに肩の故障は致命的だったのだろう。
でも、この頃は少しずつ話をしてくれる。高校でどれだけ必死に野球をしていたかを話しながら、小林さんはたまに苦しそうな様子になる。そんな様子を見ながら、私は何も出来ない自分を感じる。人とそんなに関わってこなかった私が何か言うのも出来なくて、ただ、私は話を聞くことしか出来ない。それでも、小林さんはニッコリと微笑むのだった。
「野球が好きですか?」
「うん。今でも一番好きなスポーツだよ。将来、子供が出来たら一緒にキャッチボールをする。なんてね。あ、話していたら、随分、遅くなってしまったね。もうそろそろ帰るよ」
時間は夜の11時を過ぎていた。一緒に話していると楽しくて…帰って欲しくなくて…話を長引かせてしまっていた。
「あ、…はい。今日はありがとうございました。楽しかったです」
「多分、俺の方が美羽ちゃんよりも楽しかったと思うよ。本当にありがとう。」
小林さんが幼い時から打ち込んでいた野球を決別したのは甲子園での肩の故障だった。プロからも話は来ていたのに、それでもそれを断らないといけないくらいに肩の故障は致命的だったのだろう。
でも、この頃は少しずつ話をしてくれる。高校でどれだけ必死に野球をしていたかを話しながら、小林さんはたまに苦しそうな様子になる。そんな様子を見ながら、私は何も出来ない自分を感じる。人とそんなに関わってこなかった私が何か言うのも出来なくて、ただ、私は話を聞くことしか出来ない。それでも、小林さんはニッコリと微笑むのだった。
「野球が好きですか?」
「うん。今でも一番好きなスポーツだよ。将来、子供が出来たら一緒にキャッチボールをする。なんてね。あ、話していたら、随分、遅くなってしまったね。もうそろそろ帰るよ」
時間は夜の11時を過ぎていた。一緒に話していると楽しくて…帰って欲しくなくて…話を長引かせてしまっていた。
「あ、…はい。今日はありがとうございました。楽しかったです」
「多分、俺の方が美羽ちゃんよりも楽しかったと思うよ。本当にありがとう。」