あなたと恋の始め方①
 私は自分の席に座ると、買ってきたコーヒーに口を付けた。私が想像していたよりもかなり温い。温いと言うよりは冷めきっている。不味くはないけど、中垣先輩に申し訳ないと思った。


『今日の帰りにはいつもよりも高いコーヒー豆を買おうかな』


 パソコンを開いて数値を整理すす仕事を始めた。自分の覚書に書いているものをきちんとパソコンに整理していく。何時もはそんなに時間が掛からないのに、今日は中々進まない。

 

 つい、考えてしまうのはさっきの中垣先輩の言葉だった。


 折戸さんは私のことを好きだと言ってくれている。鈍い私にも分かるくらいにはっきりと真っ直ぐな瞳が眩しすぎる気がした。この人の手を取ればきっと幸せへの道は約束されているだろう。でも、小林さんはどうなのだろう。嫌われてはないと思う。でも、小林さんからは女として好かれているというのは感じられない。


 小林さんは私のことをどう思っているのだろう。


 
 私が思うほど、小林さんは私のことを思ってくれてない気がする。私みたいに手がちょっと触れるだけでドキドキなんかしてないだろうし、私みたいに身体中に幸せが駆け巡ることもないと思う。だからと言って折戸さんの気持ちを受け入れるというのもなんだか違う気がする。



 恋愛って本当に難しい。



 仕事が楽しいと思うから、恋愛なんかしてこなかったけど、人の優しさを知り、恋をすると、無性に寂しく思ったりする。恋をして、寂しさを知った。


 それが恋なのかもしれない。

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