あなたと恋の始め方①
 しばらくして注文した料理がテーブルの上に並んでいく。確か、お昼の懐石ランチだったはずだけど、どうも運ばれてくる料理の内容が違う気がする。写真で見たのよりもランクが上のモノが頼まれている気がした。


「私は懐石ランチのはずですが」


「別に普通の懐石でもいいだろ。どうせ食べるなら美味しいものがいい。それに食事をしながらゆっくりしたいし」


「そうだよ。今日は高見主任という立派な財布が一緒だから何を食べてもいいと思うよ」


 考えられるのはさっきお手洗いに行った時しか考えられない。でも、今更注文は変えられないから仕方ない。普段なら食べない豪華ランチと思って楽しもうと思った。高見主任にご馳走にならなくても大丈夫なくらいに財布にはお金も入っている。


「いただきます」


「さ、楽しもうか」



 並べられた料理は前に高見主任と一緒にお昼と食べていた時を彷彿させるようなものだった。味付けは細やかで繊細だ。どれもこれも美味しい。そして、目を見張るくらいに豪華だった。この頃は忙しくてまともなものを食べてなかったので、胃に染み渡る。


 美味しい料理に優しい高見主任と折戸さんと一緒という最高のシチュエーションを迎え、私は誰もが羨ましがる状況にあると思う。実際に高見主任と折戸さんの知性溢れる話は面白いし、有意義な時間に他ならない。楽しい時間はゆったりと確実に過ぎて行った。


「で、そろそろ、坂上さんの報告を聞こうかな」

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