溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~



 いつの間にか、ヘリの音は止んでいて、残ったのは、辛気臭い顔をした私と、寂しげに笑うジェイドさんだけだった。

そして漸く、現れたケイリ―さんが畏まった様子でジムに入って来た。

「無事に案内することが出来ました。彼らを何処に案内しましょう」

「一番上のスイートルームが開いているだろう。お通しして、アルコールか飲みものを聞いて、それに合わせて何か出していてくれ。すぐに向かう」

テキパキと指示した彼の服の裾を掴むと、私は首をブンブンと横に振る。

「私は会わないから。絶対に会わないから。ジェイドさんから先に言っておいて」

意地で言っているわけではない。
会う必要がないもの。
私は今、7日間貴方のモノなのだから。

「この指輪は、もし彼に遭遇しても外さない、もし何か聞かれたら貴方の婚約者だと伝えていいのよね?」

「キミがそれでいいなら、もちろん」

ジェイドさんは歯切れが悪い言葉を、無理矢理笑顔で押し込めてそう笑ってくれた。
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