溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
ピンクの足首まで隠れるワンピースを、日本から持って来たトランクから取り出した。
胸元で水色のリボンが結ばれ、スカートの裾に、ピンクの花が二つ咲いている。
この服を見たとき、ハワイの青空の下で着たら似合うだろうなって衝動的に買ってしまったワンピースだ。
ジェイドさんがネグリジェや高級なワンピースを用意してくれていたけれど、せっかく買ったこの服は日本に帰ってから着るのか不安になって、慌てて取り出した。

それを着て、一人、船内のショッピングモールをうろうろする。
さっきまで、ジムで二人見つめあっていたのが嘘のようだった。
御伽話を読みふけっていただけで、顔をあげたら現実の世界は王子様は居なくて。
なかなか本を閉じることはできないなんて、馬鹿みたい。


一人でバルコニーに居るのが何だか寂しくて、ショッピングモールを歩き回り、けれど欲しいものは無し。
気づいたら船のデッキの庭園のような場所で海を覗きこんでいた。
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