溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~

ベンチに、ホットドック屋さんやアイスクリームが売っているのを見たら、一瞬船じゃなくて公園に迷い込んだかのように思えた。
でも、船の最上階にヘリが止まっているのが遠くからでも見えて、萎える。

「緊急時にしかヘリって行き来しないよね?」
「日本の会社のヘリだったわよ」
「お忍び中の船長に、ビジネスかしら」

私の耳にまで届く噂話は、あまり好意的な内容は無かった。

部屋に居た方がまだマシなのかもしれないけれど、ジェイドさんを一人で待つのは何だか空しかった。

ケイリ―さんがビジネスだからと、私の不安を取り除こうと優しく気遣ってくれていた。けど、私の心は、そんな所にはない。

捨てられて可哀想な私だから、優しくしてもらえた。

そのまま、7日間ずっと優しくして欲しい。
けれど、甲斐が来て動揺したのはまだ好きだからじゃない。


私の契約時間に、他人を侵入させたくなかったの。
あの夜を、あの醜態を思い出したくなかっただけなの。

もう一ミリも甲斐なんて好きじゃない。

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