溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
そんな情もない冷たい女だと思われたくなくて、
でも甲斐をまだ好きだと嘘をつきたくもなくて、
夢からも冷めたくなくて。
このまま、ただ優しく抱きしめていてくれるだけで良かった。
こんな可愛くない、最低な気持ち、知られたくない。
「部屋にも戻りたくないな……」
憂鬱な時間を持て余していたら、私の視界にソフトクリームが入って来た。
「美山さま、どうぞ」
にっこりと笑うそのイケメンは、先ほど私のコンシェルジュをしてくれた人だった。
えっと、確か名前とか挨拶してもらったはずだったけど、全く思い出せない。
「ブラウ・ブリジットです。多分、朝は聞いてなかったご様子だったので」
「あはは。ブラウさんは、どうして此処に?」
両手にソフトクリームを持ったブラウさんは、ジーンズにTシャツという、制服ではなくラフな格好をしている。
「オフなのですが、わくわくして部屋から出てきたら美山さまを見つけたので」
流暢な日本語でそう言うと、私にソフトクリームを差し出してきた。