溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~

そう言って、中に入ると甲斐が深く嘆息した。

「やっぱり臭いんだ。この香水」

「臭くないわよ、付け過ぎよ」
「イギリスの香水を付けろって叔父さんが見つけてくれたんだ。JO MALONE LONDONのウッド セージ & シー ソルトって奴。イギリスの海岸の香りって謳い文句なんだってさ」


「そこまで徹底して歩み寄るのは良いけど、付け過ぎよ」

「お前、本当にズバズバ言うよな」

「今すぐ落としときなよ」

そんな辺り触りない会話をしながらバルコニーへ行く。
ジェイドさんと一緒にいるあの部屋よりも椅子何個分ぐらいか広くて、設置されているテーブルも綺麗だった。

――けれど、私もあっちのバルコニーの方が好きだった。

「本当にジェイドさんの会社と提携したくて此処まで来たの?」
「お前が此処に居るって分かってじっとして居られなかった」

私たちは同時に喋り出して、お互いの言葉を上手く聞き取れなかった。

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