溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
――日本に滞在中は大切な時間。
思い切り、頭を鈍器で殴られた気分。
私とは大切ではないから仕事の話で居ない時間もある。
「お前をあの夜、攫って行った人が、俺に会いに来たジェイドさんだと知って卒倒したよ。しかも、婚約者とか言ってたけど……彼は俺のあの夜の態度に抵抗感があるのか」
「うん」
はあああ
手すりに全体重をかけて倒れ込むと、大きく溜息を零す。
此方まで悩みが伝染しそうな、嫌な溜息。
「じゃあ、自業自得ってやつか」
「うん」
「まじかー」
困ったなーと手すりから顔を上げて海を見ながら、苦笑する。
言い訳、しないのかな。
私に言い訳してくれたら、頬を叩いて終わりにできたのに。
なんであの夜の事を、ちゃんと話してくれないんだろう。
隣に居たのに、八年間も私は彼の何処を見ていたのか。
「甲斐は、――私のこと、いい加減な扱いをした自覚はある?」
「不誠実だった。お前に甘えてたのは本当だ」