溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
「クライアントの事を調べるのは当たり前だ。ジェイド船長は親日家だし、弟は日本人と結婚している。彼も日本に大切な女性がいると親しい人達には言っている」
「――じゃあ、甲斐にはこの指輪は何の意味も持たないんだね」
ははっと力なく笑うと、部屋の中らジェイドさんが椅子で窓を叩き始めた。
抑えている甲斐も、叩いているジェイドさんも割れたら無傷では済まない。
「甲斐、開けて」
「嫌だ。お前を傷つけてしまったから言える! お前がこれ以上傷つく所なんてもう見たくない!」
顔が真っ赤になるまで必死でドアを押さえている甲斐の目は、嘘を吐いていなかった。
昔から、正義感だけは強かったんだから。
謝ったら、私が我慢するしかないと分かって行動で誠意を見せようとしてくれている。
「もういいの。私が望んでいるから開けて」
真っ直ぐに甲斐を見ると、少し下を向いて目を閉じて歯を喰いしばる。
まるで自分の力不足を責めるかのような表情で。