溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
私のその仕草に、ジェイドさんは悲痛な表情を浮かべると優しく私の手を離し甲斐の元へ向かう。
そして、力なく座り込んでいた甲斐の胸倉を両手で掴んで無理矢理立たせると、鼻がぶつかるぐらい至近距離まで近づく。
「さっさと日本へ戻れ。お前の会社なんかと、この誇り高い俺たちの『セレブリティ・プリンセス・ジェード』は契約なんて絶対しないっ」
「ジェイドさんっ 違うのっ 私たち、言い争ってたわけじゃなくて」
「俺だって、七帆を騙そうとしている貴方なんかと契約する気はもう消えました。時間の無駄です」
甲斐も負けずに胸ぐらを掴むジェイドさんの腕を、強く掴み返す。
「甲斐も止めてよ。せっかく此処まで来たのに、一瞬で無駄にしないで」
二人の間に入って、摘まんでいた腕を引き剥がすと、二人を睨む。
「私じゃなくて、二人は会社の、――自分たちの船や会社を利用してくれる人の事を考えるべきじゃないの!?」