溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
溢れだしていた涙を、必死で手で何度も何度も拭いながら、私も感情に流されていた自分に恥じる。
「ジェイドさんだって、私に船内を案内する時も、コンシェルジュさんを紹介する時も凄くゲストを大事にしている事が伝わったし、そんなジェイドさんの船が色んな人に素敵な思い出を残せられるように乗れる場所が拡大するのは素敵なことだと思うよ」
経営とか、契約とか利益とか分からない私が口出したらいけないとはわかっているんだけれど、それでも、止まらない。
「甲斐だって、日本で一番規模の大きい旅行会社なのに、こんなこんな私情がが入りまくっって商談が破談になるなんて嫌だ。私だって責任感じるんだから」
「ナホ」
「七帆」
二人の緊迫した雰囲気が一瞬だけ和らぐ。それでも、気まずげに視線も合わせようとはしなかった。
意地を張っている部分もあるんだろうけど。
このままは、私が嫌だった。お節介だとは分かっていてもこの気持はもうどうしようも収まらなかった。