溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~

「ナホが泣くのは耐えられない。だが、そちらの男も信用できない」
重い口をジェイドさんが開けると、渋々と髪を掻きあげながら言う。
「一緒に来られた上司の話も聞こう。そちらはケイリーにでも船内を案内させよう」
「ジェイドさん」
前向きに見つめ合ってくれるジェイドさんに感激を隠せなかった。
心配げに私を見るジェイドさんに今すぐ抱きしめられたいとさえ思うほど。
「君は、今だけは俺の婚約者だ。――俺もキミを信用しているよ、ナホ」

今だけは。

じゃあ、今だけは貴方は私だけのものなのだろうか。

一瞬、辛くて涙が零れそうになったけれど何とか涙をのみこんで笑った。

「ありがとう。部屋で待ってるね」
「ナホ」
「一緒に大きいベットで眠ってもいいよ」
クスクスと笑うと、ジェイドさんがギラギラした目で私を射抜く。


「その言葉、忘れたら駄目だからな」

絶対だからと強く言われたら、お互い何処から冗談なのか忘れてしまいそうだった。


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