溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
「……」
何を話しても結局は、あの夜に繋がってしまう。
もう以前の、居酒屋で愚痴を吐くだけの甲斐と、その愚痴を聞いて期待してしまう私の関係は戻らない。
戻ったところで、私には報われる要素は多分一ミリもないんだかこれで良かったんだと思いたい。
「もう、愚痴は聞いてあげられないんだから、彼女と結婚したら頑張りなさいよ」
「七帆」
「どっかのお嬢様だったから、家柄的には反対されないだろうけど、いつまでも甘えさせてたら、アンタにも彼女にも良くないわよ」
泣けば甲斐が絆されると分かっている彼女は、天然を装っていても強かなのが容易に想像できる。
甲斐はきっとこれからもそんな彼女に一喜一憂しては騙され続ける。
それぐらい、彼女は甲斐にとって魅力的な女性なんだろう。
「ずっと七帆の気持ちを知っててもどうすることも出来なかったけど、でも今は本当に幸せを願っているんだってば」