溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~

「本当にね、あの夜、海の泡のように甲斐への気持ちは消えて行ったの。一瞬でよ。悪いけど、もう本当に甲斐とは友達にも戻りたくないしどう許していいかなんて分からないの。だから、心配されても迷惑でしかない」

はっきりとそう告げると、もやもやしていたあの夜の事は、スッキリした。

そんなものなのかもしれない。
「だから、怖いのかな。このキラキラした7日間が一瞬で泡になるのが怖い。だから甲斐には放って置いて欲しいのかもしれない」
高望みなんてしない。失恋の傷を治すだけの、ただそれだけの時間として現実から切り離したかったのに。

「そこまで言うのなら、もう俺に出来ることはないのかもしれないな」
力なく笑う甲斐に、やっと私も肩の力を抜いてできる。

「ヘリで来るなんて大胆なこと、並大抵の人じゃ出来ないわよ。凄いじゃない」

「英国で一番大きい、世界有数の海運会社、カリビアン・セレブリティ・インターナショナルのあの歳で取締役も兼務していると聞いているし、彼の発言力が会社で大きい事も知っていたからね。あの会社は上流嗜好だから、うちの大衆向けとは合わない部分もあるけど、けどそこを逆手にとれば新しいクルーズの展開が出来ると思うんだ。それに」

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