溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
ケイリーさんの助けもあって、私はすぐにエレベータに乗り下へと降りる。
コンシェルジュさんや乗っているゲストには私が彼の婚約者だと思われている。
だから泣いているところを見られたりしたら大変だと思いつつも、
溢れてくる涙を止めることはできなかった。
綺麗に磨かれて、ワンピースとお揃いに塗ったネイルも、くすんで輝きを失った。
あんなに優しくて、大根なんかのために船内中を走り回ってくれるようなジェイドさんは、やはり守らなければいけない女性という位置にしか私を見ていなかったんだ。
ただの片思いなのに、もしかしてとほんのちょっぴりでも期待してしまった私は馬鹿みたい。
全然、甲斐のときで学習能力が付いていなかったようだ。
泣いて視界がぼやけたまま部屋になんとか辿り着くと、部屋のベットとテーブルとソファに白い何かが置いてあった。
テーブルには、布巾で作った猫、ソファには居眠りしているフレンチブルドッグ、ベットにはサングラスまでかけてある御昼寝中の猿。