溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
「ん? どうやら俺の後ろに可愛い犬が居るみたいだね」
私の行動に、笑顔で振り返るけれど私の顔はちょっと拗ねていたので首を傾げる。
「どうした? ナホ」
「煙草の匂いがした」
「あ」
しまったと、長い手で口元を覆う。
別に吸うのも吸わないのも本人の自由だと思うんだけどなあ。
「やはり紳士たるもの女性の前で吸うのは憚れるから」
「よくそんな難しい日本語知ってますね。べつに私は大丈夫ですよ、五日間も気づかずに我慢させてしまってすいません。バルコニーで吸えば良いのにって思ってたんですよ」
同じベットで何度も一緒に寝たのに、全く気付かなかった。
上手に隠すジェイドさんの優しさは、見えない部分にも溢れているんだ。
「そう言ってくれるなら、バルコニーで吸うかもしれない。元々ヘビーではないし嗜む程度だから迷惑はかけないよ」