溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~

「大丈夫ですって。好きな時に吸って下さい」
「いや、でもやはりいつかは止めようと思っているんだよ」

それは『サクラ』さんの為?

喉から出かかった言葉を吐きだしそうになって慌ててその場を離れた。
「そう言えば、ワインがありますよ」
アニマルタオルをジェイドさんに押しつけながら、ワインセラーから先ほどのワインを取り出す。
私は先日の失態があるからほどほどにジェイドさんへ注ごうとした。
「駄目だ」
「へ?」
「女性に酒の用意をさせるなんてとんでもない!」
疲れているはずのジェイドさんはすぐに私からワインと置いていたグラスを奪い取る。
本当にどこまでも紳士なんだから。
「五日間も一緒に居るのに、ジェイドさんって悪いところが出て来ないですよね」
「何だ、急に煽てて」
照れくさそうにそう答えるのに、ワインをテイスティングする手の動きはあたふたとしている。
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