溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
「素のジェイドさんも素敵な人なんだって事ですよ。私、素からして根性がないからなぁ」
赤いワインからは、甘い葡萄の香りがする。
一口飲んだら、スッキリした喉越しなのに鼻から甘い余韻が香って楽しめる。
上品で、高級そうなワインも、ジェイドさんなら似合ってしまうから、ずるい。
「素敵な人、ねえ」
その言葉を舌で転がしながら、少し不服そうだった。
「あら、違うの?」
「いや、嬉しいよ。ナホが俺を信用しているんだって感じられて。さっきだってあんなに無防備に眠っていて、人肌恋しそうにこんな間抜けな猿の形のタオルケットを抱きしめちゃって」
「そ、それは――」
「でも、泣いていた痕があるよ? ナホ」
私の小さな変化にも気付いて、痛いところを抉って来る。
そんなストレートな所は、短所でもあり長所かもしれない。
でもね、泣いていたのは私の一方的な失恋のせい。
言う前から終わっている恋が、行き場のないこの気持を上手く消化できない要領の悪い私のせいなんだもん。
「素敵な人だとナホは言ってくれたけど、俺は素敵かもしれないが良い人ではないからね」