溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
「貴方は他に好きな人がいても私を抱けるの?」
馬鹿な質問をしてみた。腕と心が痛むお返しに。
「そんな不誠実なことはしないよ。ただ、ナホの気持ちが揺らがないように、俺が早くその香りを消したいだけだ。君たちに何があったのかは、ナホだけが傷つくことさえなければ、俺に口出す権利はないから」
なんだかいつのも煮え切らない態度ではなくて、変だ。
さっき、私と甲斐の前に飛び出してくれた時はもっと感情をはっきり出してくれていたのに。
「甲斐は不器用なだけで、根本的な所はやはりいいやつでした。でも、甲斐とどうなるとかはもう無いし、甲斐の言動で傷つくこともないと思うから大丈夫ですよ」
「そうなら別に良いんだよ。そうだ、ワインに合うチーズが確かメニューにあったはずだ」
話を上手に逸らすと、ジェイドさんはすぐにケイリーさんへ電話し注文してしまう。
ジェイドさんの、只ならぬ雰囲気の理由を私はよく理解できないでいた。
「そう言えば、甲斐は日本までずっと乗ったままなの? ヘリで帰らないのかな」
「ヘリで帰ると言っていた彼らを俺が止めておいたよ。ヘリの本来の役目は緊急時や船内の医療では間に合わないケースの時に使うものだからね」