溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~

「ミスター、イマダ。君たちも此処に?」
「はい。ルームサービスは恐れ多くて。このレストランのサンセットが美しいとコンシェルジュに聞いて出てきました」
丁寧な物腰で、笑顔も人が良さそうな感じ。
昨日の怖そうな、苛立っていた表情とはまるで違っていた。
明らかにジェイドさんにゴマを擦っている感じだ。
両手でがっしり握手してきたのに、ジェイドさんは軽く握り返すだけだ。
甲斐の叔父さんみたいな人の対応には慣れているみたい。

「そうか。ここの焼きたてのパンは、俺の拘りで最高級の食材だ。どうぞごゆっくり味わって下さい」
紳士にそう言うと、ジェイドさんは私の腰に手を回し、二人の横を擦り抜けて行く。

ばっちりと甲斐の視線は、私の腰に回されたジェイドさんの手だったのに、内心冷や冷やする。

絶対、この二人、仲が良くない。

「せ、船長、良ければ私たちもランチをご一緒させていただけませんか」

叔父さんが更に食い下がると、ジェイドさんも振り返って首を振る。

「すいません。今日と明日は、彼女と過ごしたいので」

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