溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
(ぎゃああああ)

恥ずかしい台詞も、ジェイドさんの甘い声と笑顔で息を飲むほど綺麗に聞こえてしまうから不思議。

「ポカンとしてるよ。今田海外企画室長さんだったかな?」
「さあ。雲の上の存在の人だからなんとも。甲斐は専務って呼んでましたよ」

可哀想に。あっちは親睦を深めたいとか、色々ジェイドさんの話も聞きたかったかもしれないのに。

「まあ、どんな地位の人でも今日は邪魔させないけどな」

「……」

本当にこの人は。
結局、甲斐たちは空気を読んで姿も見えない場所に席を取ってくれたみたいだ。

レストランに入ると、海が見える窓辺にテーブルがゆったりと置かれている。
店をぐるりとテーブルが囲んでいる感じ。
中央に調理場が置かれていて、筒に巻かれたバームクーヘンがくるくると焼かれて甘く香ばしく、ローストビーフを長い包丁で切っているのがガラス越しに見えた。
その調理場の回りを弧を描くように料理が並べられていて、美味しいそうな焼き立てのパンの甘いバターの香りも漂っている。

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