溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~

「すいません。今日はプライベートなので仕事の話はしたくありません」

申し訳ないけれど、名刺も付き返してそう告げる。

只さえ、ヘリでこんなところまで乗り込まれて、彼だってゆっくりしたかっただろうし、私も最終日は彼とゆっくり過ごしたい。

「彼はプライベートでも、キミには仕事の依頼をしているんだよ」

「邪魔しないでください」

「じゃあ、キミは仕事を断ると言う事だね? そう捉えるよ」
脅しだ。私みたいな事務なんて代わりが一杯いるものね。

「いいですよ。私みたいな平社員を脅さなければ契約をとれない会社なんてこちらから辞めてあげますっ」
「小娘の癖に、此方が下手に出れば調子に乗りおって!」
「彼が待っていますので失礼致します」

私の態度に、甲斐の叔父さんがヤカンみたいに沸騰しているが、一秒でも早く消えて欲しい。

まだ何か言いたそうにワナワナ震えている専務の横を過ぎて、焼き立てパンを取ろうとしたら、いきなり腕を掴まれそうになった。
「待ちなさ――」
「叔父――専務」
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