溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
「有耶無耶にはしないから、キミとは必ず決着はつけるつもりだ」
ジェイドさんは鋭い眼差しで甲斐を威圧しながらも、私が食べたいと言っていた出来たてパンの元へお詫びのつもりか取りに行ってしまった。
甲斐の叔父さんもバツが悪そうに席へ戻って行く。
残ったのは、少し胸を撫で下ろす甲斐と私。
「本当にすまない。叔父さんは俺の彼女の父親と懇意にしているから」
「彼女とちゃんと婚約するって伝えたの?」
苺やパインやサクランボにマンゴー、10種類以上あるフルーツをお皿に乗せながら、私は彼女の話題を自分からふっていた。
「ん。まだ誰にも」
煮え切らない甲斐の表情に、思わず足を踏んでしまった。
「いたっ」
「もう私は相談に乗らないんだから、はっきりしてあげなさいよ」
「分かってるよ。――お前こそ、苺そんなに食べれるのか?」
気づいたらお皿に溢れんばかりに苺が乗っていて、自分でも驚いた。
甲斐は、小さく笑って自分のお皿を指で叩く。
「ちょっと頂戴」
何もまだ乗せていないお皿に、私が苺で埋めて行く。
苺みたいに簡単に埋められる心ではないけれど、私も甲斐も――もうお互いをそんな対象とは思えない事だけは理解している。
「さっきの七帆、すっげ可愛かったよ」