溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
「さっき?」
「ブラフォード船長に『ジェイドさんの時間は私のモノなんだから』って。お前が人に甘えているの初めて見た」
「アレは、――甘えてるんじゃないよ。本心だもん」
「じゃあ、七帆はブラフォード船長と一緒に居る時は本音を隠さないんだ。俺はお前に甘えさせてやれなくて自分の事ばかりだもんな。あの人は七帆の本音をちゃんと聞いてくれているんだね」
全種類のパンを持ってジェイドさんが此方に戻って来る。
優しく目尻を滲ませて。
「でも、もうそれ以上は深入りは傷付くだけだよ」
甲斐は苺を一つ持ち上げると、そのまま口へ運んでしまった。
そのまま、もう何も言わないようにと去っていく。
半分貰ってくれたから、お皿にはスペースができた。
何でも並べられているフルーツならきっとどれでも取れるけど。
私が欲しいモノは掴めないから、空しい。
傷つけたからこそ、私の今の痛みを一番心配してくれている。
今はそれさえも痛い。