溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
近づいてきたジェイドさんは眉を寄せて私の顔を覗きこむ。
「どうした? また甲斐に何か言われたのか?」
「いいえ。苺を取りすぎて笑われてたの」
「そうか。これ以上はもう仕事の話は止めて欲しい。日本人には休みはないのかな」
深い溜息を吐きながらちょっとだけジェイドさんは冗談っぽく笑った。
「少しは休んで欲しいですよね」
この時間さえも私は惜しいのに。
焼き立てパンにバターを塗ったら、香ばしい匂いが鼻を掠める。
パスタも何種類もあったし、チキンや魚のフライ、スープにドリンク、本当にどれも美味しくてこれは一週間毎日食べてもきっと厭きなかったと思う。
「一週間じゃ、この船を知りつくすのは無理だわ。悔しい」
「ナホならいつでも歓迎するよ。スイートルームをいつでも空けて待ってる」
「あら、私がそんな甘い言葉に騙されれるものですか」
「俺がいつ、ナホを騙したことがあった?」