溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
思えば、仕事を始めてからは仕事と家の往復がかり。
長期休暇は友達と飲みに行ったり、会社割引で一泊の旅行したり。
こうやって趣味の時間は減っていた。
久しぶりにバスケットボールを触るのがこんな機会になるとは。
「ナホ、先客がいる」
波の出るプールではしゃぐ声を横切りテニスコートの隣、半コートしかなく、ゴールも一つしかないのだけど、そこに黙々とシュートを決めているスーツ姿の人がいた。
「甲斐……」
一足先に来てたんだ。
「ナホ、俺はやはり、あの夜にナホを傷つけた甲斐へのもやもやをスッキリさせていない」
「――ありがとう。さっきも私なんかの為に」
言いかけた私の唇に、ジェイドさんの人差し指が触れた。
目を見たら、少し怒った彼が困った顔をして笑っている。
「見ていて? 絶対に甲斐との勝負は勝つから。あと、ナホは『私なんか』というが俺は、ナホの為に怒っている。『私なんか』、なんて言わないでくれ」