溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
バスケゴールの影がコートに堕ちる。
空がオレンジ色に染まっていく。
茜色の水面がキラキラと反射して輝いている中、私とジェイドさんは無邪気にボールを取り合って遊んでいた。
ボールの取り合いになって、地面を転がって奪い合って声を出して笑った。
ロマンチックの欠片もなかったけれど、私は楽しくて。
夜の染まろうとしている空を、涙も零さず見上げることができた。
「美山様。ブラフォード様」
ブラウさんがコートで寝転ぶ私たちを上から覗きこんでいる。
いつの間にか、遠くで聞こえていたプールではしゃぐ声も聞こえなくなっていた。
「第一部のディナーが始まります。サーカスのパレードが始まると混雑しますよ。お早めに準備に向かわれた方が賢明かと」
「迎えに来てくれたんだ」
「当然です。今、ケイリ―さんが美山さまの衣装を取りに行っています。エステ後には着替えられるように」
その言葉に、大きく心臓が動き出す。