溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
窓を見ていた視線を、ブラウさんの方へ向ける。
ブラウさんは、コンシェルジュの顔の優しい顔をしているのに、言葉は正直だった。
「婚約指輪をしているくせに、全然二人とも距離を感じるんですから、俺とか親父も気づいていると思います」
「親父?」
「ケイリー。俺の父親なんです。俺とジェイドさんは親父に教育してもらったから、まあ後輩と先輩みたいなものですね。仕事中はプライベートな姿を俺達は出したくないのでオーナーとクルーですが」
色々と驚くことを言っているけれど、ブラウさんは私の目元を優しく撫でながら笑う。
「ジェイドさんは、ロマンチストでフェミニストだから、自分の気持ちにも鈍感で貴方の気持ちにも気付いていないかもしれませんよ?」
「それでいいです。気づかれたら、明日上手にバイバイできないんだもん」
7日間だけ幸せに包まれたら満足だと思っていたのに、ブラウさんから見たら、死を宣告された死刑囚の様に映っていたのかもしれない。