溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~

そっか。ブラウさんなら仲が良いからきっと『サクラ』さんの事も知っているんだ。

だから、私が偽りの婚約者だって初めから気付いていたんだろうね。

「何で、そんなに頑ななんですか?」
「ジェイドさんは日本に大切にしている人がいるでしょ」

「日本に? 弟のこと?」

首を傾げるブラウさんの仕草からは、嘘を吐いているようには見えない。
本当に知らないのかもしれない。

「知らないならいいんです。エスコートありがとうございました。失礼しますね」

予約時間には少し早かったけれど、ジェイドさんを待たせたくなかったし。

「美山様、もしかして『サクラ』ちゃんの事ですか?」

ふと気付いたかのように目を見開くブラウさんは、そのまま口元に手を当てている。

親しげにサクラちゃんと呼ぶブラウさんに少し驚いた。


「ジェイドさんは――本当にサクラちゃんの事になると周りが見えていないからな。十分な説明をしなかったんだね」

「ブラウさん?」

< 196 / 244 >

この作品をシェア

pagetop