溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
そっか。ブラウさんなら仲が良いからきっと『サクラ』さんの事も知っているんだ。
だから、私が偽りの婚約者だって初めから気付いていたんだろうね。
「何で、そんなに頑ななんですか?」
「ジェイドさんは日本に大切にしている人がいるでしょ」
「日本に? 弟のこと?」
首を傾げるブラウさんの仕草からは、嘘を吐いているようには見えない。
本当に知らないのかもしれない。
「知らないならいいんです。エスコートありがとうございました。失礼しますね」
予約時間には少し早かったけれど、ジェイドさんを待たせたくなかったし。
「美山様、もしかして『サクラ』ちゃんの事ですか?」
ふと気付いたかのように目を見開くブラウさんは、そのまま口元に手を当てている。
親しげにサクラちゃんと呼ぶブラウさんに少し驚いた。
「ジェイドさんは――本当にサクラちゃんの事になると周りが見えていないからな。十分な説明をしなかったんだね」
「ブラウさん?」