溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
もうすぐ魔法が溶けてしまう『今日』が終わってしまうというのに、自分で魔法の靴を探すなんて――私はどうして最後までこう、決まらないんだろう。
幸い、ショッピングモールには人が少なかった。皆、最後のセレモニーが行われているディナー会場に居るんだと思う。
何処にも同じような靴は見当たらなかったけれど、一店舖だけドレスに合いそうなピンク色のハイヒールを勧めてくれた。
踵部分に黒いリボンが結ばれてあって少し大人びているけれど、きっと履いても違和感はなさそうだった。
「美山様、どうでしたか?」
「駄目です。でも合いそうな靴はありました」
「ありましたっ ケイリーさん、美山様」
ブラウさんが白い箱を持って走って来る。
私たちもすぐに走り出していた。
「スタイリストの御客様が居たのを思い出したんです。その方に聞いたらハワイの免税店で数点買ったと聞き、事情を話して一足譲って下さいました」
譲っては嘘だ。きっとちゃんと買い取ったはずだ。
なのに、私に気遣ってそんな嘘まで付いてくれるなんて。