溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
物語から飛び出してきた王子の様な芝居かかった台詞も、――ジェイドさんなら違和感がないのはどうしてだろう。
私が、今日の夜中まで魔法をかけられたシンデレラで居たいからかもしれないし。
既に魔法にかけられているのかもしれない。
甲斐に振られたあの夜、救ってくれたあの瞬間から。
甘く調律されたヴァイオリンの奏でる音色を聞きながら、私は幸せで笑っていた。
跪いていても、ジェイドさんのオーラは王子様のままで、制服姿のストイックな姿なのに――セクシーに感じた。
「私も、ジェイドさんが素敵過ぎて言葉が出て来ないみたい」
息が詰まる中、そう吐息を漏らすように言うと彼は目を細めて笑う。
「では、喋れなくなっても泡にさせないように守らなくては」
声がかすれた私を人魚姫に例えてくれた彼は、手を握ったまま立ち上がると、腕を曲げた。
その腕に自分の腕をそっと絡ませる。