溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
「そんな事言わないで、ナホ。まだ明日までキミは俺の婚約者だろ? キミが嫌でも明日までは離さないよ」
明日まで――。
その言葉が私の声を奪っていく。
駄目だ。聞かなきゃいけないのに。
「Vedi come sono pazzo di te?」
「え?」
ジェイドさんの英語が聞き取れなかったのは初めてかもしれない。
いや、これは――英語ではない?
「どういう意味ですか?」
「明日まで内緒だ。それよりもいつまでも壁の花でいるのは勿体なくないかな?」
はぐらかされた。
そう気付いた時には、既にもう遅くて。
ジェイドさんにリードされながら、フォールの中央へ連れて行かれる。
これはもしや、一曲踊るってこと?
一般市民の私は、高校時代のフォークダンスしか経験はないし、それに、慣れない靴では――。
そう思ったのに、足は止まらない。
ポップな曲にがらりと変わって、気づけば皆手拍子でリズムを取っていた。
壁際に、ブラウさんとケイリ―さんもいる。