溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
バルコニーからは、ライトアップされたプールと空に染まった海が見えた。
宝石箱の中の様に、様々な色のライトで輝くプールを背に、私はバルコニーの手すりに座らされた。
「ジェイドさん?」
「すまない。――気付くのに遅れた。言い訳はできない。キミに見惚れていたくせに、――こんなに赤くなっているのに気付かないなんて」
恭しく、左足の靴を脱がされると、恥ずかしながら指先が赤く擦れてしまっていた。
ちょっとだけ大きかった靴は、歩くたびに中で擦れてちょっとだけ痛かったけど、――我慢できない事はなかったから。
「黙っててすいません。でも、どうしてもこの靴が良かったんです。どうか、フォールに戻るときは、何事もなかったようにこれを履かせてください」
「なぜ?」
赤く腫れた指先を労わるように擦られて、心臓の音が大きくなる。
どうか、心臓の音だけは指先から零れませんように。
「ケイリーさんとブラウさんが色んな店を探しまわってくれたから」