溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
「それは――聞いていたが、でもこれは彼らの仕事だから、キミが気にすることはない。キミが足を痛めた方が、二人は辛い」
「二人が責任を感じる方が耐えられないんです。だからどうか、お願い。今日だけでしょ? 私のお願い。あの二人には黙ってて」
7日間、こんなに良くしてくれたのに最後の最後で思い出に泥を塗りたくなかったから。
「キミに嘘を吐かれていたとしって、ケイリーはきっとショックを受けるぞ。彼は仕事にミスを許せない男だ」
「――じゃあ、平気。怪我なんてしてないからその靴履く」
彼も仕事へのプライドが高いのは理解している。
ケイリーさんもきっと同じで、仕事に誇りを持っていたとしても。
それでも、これだけは譲れないし、譲りたくなかった。
「分かった……」
ジェイドさんは肩を落として、力なく笑う。
「キミのその頑なな所も――魅力的だよ。ナホ」
諦めたのかジェイドさんは、溜息を吐く。
こんな事でロマンチックな雰囲気を壊したくないと、彼がみを引いた形になった。
「だが、靴を履いてもいいが、帰りは部屋まで俺に抱っこさせてくれ。いや、抱っこするから」
「どうぞどうぞ」