溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
その瞬間、最後の魔法とでも言いたげに、花火が打ち上げられた。
バルコニーに、どんどん人が吸い寄せられていく。
プールや海の水面にも花火は映しだされた。
より一層に生オーケストラの声が響きわたり、色んな場所から歓声が上がっていた。
そう。
この皆が幸せに包まれる、豪華客船は――ジェイドさんの仕事への誇りが現れているんだ。
ずっと、きっと、一生忘れないだろう。
花火を見上げれば、私はきっと彼を思い出す。
褐色の引き締まった体に、甘い言葉を平気で紡ぐそのセクシーな声。
ちょっぴりお茶目に笑うその姿も。
今は全てが愛おしかった。
「ジェイドさん」
私は振り返ると、ちょっと屈んで首を傾げて話を聞こうとしてくれたジェイドさんに触れるか触れないかの甘い口づけをした。
「契約期間って――伸びませんか?」
順序も聞きたかった事も全く違う。
それなのに、無理矢理に唇を奪った私はそう彼に尋ねていた。