溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
「キミは――言った言葉の意味を理解しているのか?」
「してます。貴方に他に大切な人が居るのは分かっていても――伝えたかった」
一般市民の女の子が、本物の英国紳士にこんな事を言ってしまうなんて、夢を似すぎているのかもしれない。
でもそれは、きっと貴方に届くはずで。
花火の音が響き渡る中、彼は下を向いた。
「キミの様な、――素晴らしい女性にこんな偽りの契約はずっと胸が痛んでいたんだ」
「ジェイド、さん?」
「嘘の契約を――伸ばすことなんてできない。こんな契約は明日ちゃんと破棄してしまおう」
彼の真面目な言葉に私も声を失った。
花火が一斉に打ち上げられる中、私の心が彼に尋ねた。
「それは、『サクラ』さんの為ですか?」
「え? 今、なんて言った?」
花火の音に打ち消されるぐらい、私の言葉は小さく――頼りなさげで。
彼の心には響かなかった。
「もう、部屋に戻りたいで、す」