溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~


「ふふ。困ったな。お父さん、びっくりするよ」
「二、三発殴られる覚悟はある。大事な娘が外国に行くとなれば、親は心配になるものだろうし」

真面目な顔でそう言っているけど、うちの父は英語教師で外国人に寛容だからそこは大丈夫だと思う。

私がフラフラしていなければ。
要は、私の真剣な気持ちを真っ直ぐに伝えなければいけないってことだけど。


私も、私もジェイドさんの傍に居たいと思う。
自分の能力に不安しかないのは、多分話していてジェイドさんも気づいていたんだ。
だから、こんな風に強行突破してくれたんだ。

彼にこんなに期待されている。
自分の能力を認めて貰えたと思ったら誇らしいよ。
好きな人なら尚更。


「もし英国移住が無理でも、プロジェクトは必ず参加したいって思ってました。別に、ジェイドさんの傍にいっぱい居られるからではないけど、でも、何か同じ仕事を一緒にしてみたくて」

「ああ、ナホ。嬉しいよ。俺は、一緒に居られるからという理由でも嬉しいんだけどね」

優しく髪を梳いた後、赤く染まった頬に触れて、零れるように小さく笑った。


そんな仕草さえ嬉しくて、愛しくて、キスしたいほど私の気持ちは募っていく。

この人が好きだって改めて自覚させられる。

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