溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~



でも私は最初から、このピリピリする胸の悼みを知っていた。

最初から、甲斐から助けて抱きしめてくれたあの夜からずっと私は。

貴方が好きだった。

「時間はないが、御両親に挨拶後にうちの弟夫婦にも会ってくれないか? 俺の両親は居ないが、弟は本当の家族なのだから」

「わあ、逢いたいです。可愛い姪っこさんにも」

私がそう言うと、申し訳なさそうな顔をした。
ジェイドさんが思わせぶりな発言ばかりして、私が不安になっていたことを後悔してくれたようだ。

でも私は素直じゃないからきっと、誤解だと知ってても契約期間は彼に思いを告げられなかったと思う。

「本当は今すぐ連れ去れって――あのスイートルームで毎日キミと一緒に居たいんだよ、ナホ」

「私もです。ジェイドさん」

今の、仕事と家の往復の日々を変えたいと思っていた。
趣味や好きな仕事、資格を取ってでも、何か変えて頑張ろうって。

だから、こうして自分でも想像していなかった方向へ向かっていくのが本当にわくわくしている。

不安が無いと言われたら嘘になるけれど、でも今は初めて知った恋を、初めて幸せな気持ちをくれた彼と幸せな過ごしたいって気持ちが強い。


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