溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
「婚約者である俺が払うのだから気にするな」
「なっ それはもっと気にします! もっと気になります。駄目です、駄目です」
絶対、すごい値段になる。そんな服、一回切りなんだから買わなくていい。箪笥の肥やしになってしまう。
「あの、レンタルとかそんなサービスも」
「――俺が、キミにこの船で一番綺麗でいて欲しいと思っているんだ。気にしないでくれ」
頑なに譲らないジェイドさんが、ちょっと考えてから私を黙らす策を練ったらしい。
「あまり遠慮するなら、日本に着いても船から降ろしてやらないぞ」
にっこりと優しく笑うけど、その有無を言わせない爽やかな笑顔に、傲慢だと怒る気力さえ沸いてこなかった。
採寸中は、店の中央でオーナーと談笑しながらのんびり待ってくれていれていたし、デザイナーの服の打ち合わせにも熱心で驚いた。
甲斐は、彼女の服選びは何時間も掛って退屈だとか、女の買い物は長いとか優柔不断だと文句ばっかだったのに。
うちの偽りの婚約者さんは、全くです。基本的に女性に合わせてくれてます。