溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
仕事の話が舞い込んできたのかもしれない。
ずっとしかめっ面だったジェイドさんだったが、漸く重い口を開いた。
「すまない、ナホ。ちょっとだけ仕事で電話をしてくる。その間、ケイリ―を着けるから二人で船内を見て回ってくれるか」
「うん。って、ケイリ―さんは大丈夫だよ。一人でうろうろした方が気兼ねなく楽しめるし」
「本当にすまない。すぐ戻るから」
ブラックカードまで私に渡してくれると、そのまますぐにカフェから出ていく。
急ぎの仕事なのかな?
知らない場所に一人になった途端何だか、心細くなってしまう。
ケイリ―さん、忙しいから一人で回る予定だったけど部屋に戻ろうかな。
そう思って視線をケイリ―さんへ向けると、何を思ったのか二、三度頷いてから小さな声で教えてくれた。
「この船のスポンサーの女優から電話です」
「スポンサーの女優!?」
女優がスポンサーの一人にいるなんて意外だった。
「ジェイドさんが女性と休暇を船で取るとなれば噂はすぐに広まりますからね」