溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~



空が茜色に染まり、遠くに見える陸には明かりがキラキラと灯りだす。
透き通っていた海の中も、どんよりと暗くなっていく。

船の三階付近ではクラシックの演奏が始まり、人がそちらに吸い込まれていく。

綺麗に巻いた髪に、ワインレッドのマーメイドドレスにストールを羽織り、剥がれたネイルも服に合わせて塗りかえてもらった。

いつ戻るかなんて正確な時間は確かに聞いていなかったけど、ほぼ半日帰って来なかった。だから、私もこんなに着飾って楽しんでしまったけど。

ケイリ―さんに此処で待ってて下さいと言われて、大人しく待っていたのはデッキの貸し切りプールがあるバルコニー。下にあるプールと違い、予約して一日貸し切るタイプらしく、誰も居ないプールには花弁が浮かんでいる。

ちょっと肌寒く感じてストールを羽織りなおしていると、足音が聞こえてきた。



「ナホ!」


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