溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
大股で走って来るジェイドさんは、休暇中のはずなのに何故か船長服を着ていて、それが目を疑ってしまうほど――格好よくて言葉を失った。
ドレスに身を包み、オシャレした私の姿を見て、『とてもよく似合っている』と甘く微笑んでくれた。すぐに私の見た目に気付いてくれるなんて、やっぱりジェイドさんらしい。
「すまない。彼女は話が長くて。少しややこしい問題も――いや、言いわけはしない。何でも償いをしよう」
真摯に謝ってくれているジェイドさんには悪いけど、今はそれどころではない。
白のストイックな船長服に、金色の四本線の肩章。
背が高くて引き締まった体で、翡翠色の瞳のジェイドさんにはコスプレかと疑ってしまいそうなほど似合っている。
「ナホ?」
「その姿で来るのは、反則です。格好いい」
「え、そうか? とういか怒ってないのか? こんなに可愛い姿で待っててくれたのに放って置いてしまって」
「仕事だって言ってたじゃないですか。まあ、なんでこんな誰も居ない所で待たされているのかは疑問ですけど」
それに、こんなに一生懸命走って来てくれた人を怒るほど私は気が短くは無いと思う。