溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~

ふーっと息を吐きだすと、前髪を掻きあげた。
汗で濡れる髪が、その仕草が、何だかとってもセクシーだ。

「落ちつかない?」
「時差のせいで、仕事の電話がね。オフでもかかってくるぐらいだから、俺の判断を仰いでいる。それに、――キミだよ。ナホ」
「私?」
仕事でって、もしかしなくても甲斐の会社なのかな。
「仕事に私の事は考えないでくださいよ」
「そうじゃなくて。――昨日、大根を探して走り回る自分が、真面目なんだけど、どこかおかしくてね」

朝日に輝く翡翠色の瞳に、吸い込まれそうになって慌てて視線を泳がす。
「キミの事を考えていたら、じっとして居られなくなった」

視線を感じるのに、眼を合わせる勇気がない。
熱く、情熱的な視線を感じながら、落ちつかない雰囲気に息が詰まりそうになる。

『サクラ』

だけど、一瞬その名前が頭を掠めた。
ジェイドさんの言葉に、深い意味はないのだと冷静になれる魔法の言葉だ。

「昨日の私みたい。ジェイドさんも熱があるんじゃないですか?」
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