溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
この女優が出ているから尚の事、ジェイドさんは楽しそうなのかもしれない。
「ジェイドさんの回りは、凄い方々ばかりですね」
「そうか?」
「ジェイドさんだって若いのに、その歳でこんな豪華客船の
船長なんて」
「……」
私がそう言うと、急に伏し目がちになったジェイドさんがマスカットを一粒ずつ食べず、房ごと豪快に食べてしまった。
出てきたのは、標本の骨の様な実の無いマスカットの房だけ。
何か私はいけない事を言ったのかな?
「俺がこの船の船長になったのは丁度去年。8年前の豪華客船沈没の時にコンシェルジュとしてその船に乗っていたことがきっかけだ」
八年前?
私が呑気に甲斐に恋心を募らせていた時ぐらいか。
そんなときぐらいから、この人は本当に苦労しているんだ。