溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
今、スクリーンに映し出されているホラー映画よりも、その話はきっと緊迫してドラマのように怒涛のエピソードの連発だったと思う。
それでも、苦労を隠して上手に優しく笑うジェイドさんは、――尊敬してしまう。
「その時に救助したお礼にと、乗っていた方達の援助により完成したのがこの船。俺みたいに若くて、経験も浅い奴が船長になれたのは、あの時に一番救助したから。それだけだ」
もう、いつしか、スクリーンに映るホラー映画が怖くなくなっていた。
いや、怖いのだけど、頭に入って来なかった。
ジェイドさんは一体、どんなことを思って、この船の船長をしているんだろう。
その笑顔だけでは、測り知れなくて。
深い翡翠の宝石の様な瞳の色が、深く深く輝いていた。
「社長も女優として活躍する彼女も一緒に生還した仲間だから、日本の会社のアプローチに慎重になっている。君の会社が本当に金儲けではなく、ゲストを持て成すためにうちの会社と契約したいのか、ね」