溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
ジェイドさんのその真摯な言葉は、会社の末端社員である私も不安だった。
甲斐はどういうつもりなのか。
日本の旅行会社は、安いパックを組んだり、ツアーを入れたりして、その中のメインを楽しむような旅行ばかり計画してある。
ジェイドさん達の気持ちとは擦れ違っているから、そこら辺は会って意思表示をお互いしなくちゃいけないんだね。
豪華なだけではない、気持ちが籠ったクルーズか。
「なんか、また熱が出そう」
「はは。休暇中に仕事の話はもう止めようか」
聞いたのは私だし、全て教えてくれただけなのにも関わらず、私は自分の理解力の無さに嘆いた。
でも、仕事が大変なら尚更、私と居る時だけでも忘れて楽しめればいいのになって思う。
「ねえ、ジェイドさん」
「ん? どうした?」
「今日は安静にするから、明日熱が無かったら私にもボルタリング教えて?」
「勿論。一緒に楽しもう。ナホは身体を動かすのが得意そうだし、すぐに上手くなるよ」
にこにこ笑顔が可愛くて、同じ時間を共有したくて私は何度も何度も頷いた。