溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
映画を何本か見終わった後、ジェイドさんは気づいたら隣のベットで眠っていた。
少年のように無防備で。
私の様な、四日しか一緒に居ない相手にも関わらず、そんなに無防備に眠られたら、複雑だった。
もそもそと起きて、バルコニーへ行くと、空はすっかり夜に染まり、海と空の境界線も分からなかった。
珈琲を飲みながら、気持ちを落ちつかせるとケイリ―さんを探した。
コンシェルジュにも、ケイリ―さんみたいに支配人レベルの階級だと、広い個室が用意されるらしい。
突然ノックした私を、嫌がる様子もなく、驚いた表情はしつつも向かい入れてくれた。
「用事なら、電話を下されば良かったのに」
「お願いがあるんです」
「?」
紅茶を入れながら、ケイリ―さんは首を傾げる。
私は大きく息を吸い込むと、深々と頭を下げながら謝った。
「ごめんなさい。私、ジェイドさんの婚約者っていうのは嘘なんです」