溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
「もし立場が悪くなったら、私が悪かったと彼を援護してくれませんか? 私はどうせ日本からは出ないし、好きに言ってくれて構わないので、彼をフォローしてあげてほしいんです」
惨めな負け組な私は、最後の最後まで惨めだっだ。
あんなに好きだと思っていた相手を前に、ウエデイングドレスで乗り込んできた女に負けた、自分の存在価値の無さ、プライドが、彼への思いを冷ました夜。
拾い上げてくれたんだ。
居場所をくれたんだ。
それだけで、私は感謝して、それ以上は望まないでいようと思っていたんだ。
ただ私は何が彼にできるだろう。
彼の偽りの婚約者で指輪も嵌めて演じていても、きっと私が日本に帰れば彼の嘘だけが残る。
婚約者になってと言ったのは、私の居場所をつくってくれただけの彼に迷惑になるだけの嘘だ。
そう、気付いたから。
「優しい方ですね。美山様は。お座り下さい。座ってゆっくりお話しましょう」
湯気と共に、甘いお茶の葉の香りが鼻を掠めた。
ケイリ―さんが、椅子を引いて私に座るように促してくれた。