君と花を愛でながら
ちらちらと白い雪が舞う中を、赤いテールランプが遠ざかって角を曲がった。
私が大好きだったお店は、もう来週には今まで通りではなくなるのかと、こみ上げる寂しさを飲みこむしかない。
ずっとあのお店で働きたい、変わって欲しくないと願ったけれど。
月日が経てば人も変わるし事情も変わる。
変わらない約束が出来るのは、きっと。
恋や愛で繋がれた人たちだけだ。
あの時、一瀬さんによって繋がれた細い糸は……恋や愛に形を変えてくれるだろうか。
白い毛糸の手袋だけでは外気を防ぎきれなくて、冷えてきた指先を吐く息で温める。
ふと花束が気になって、ショップバッグの中を覗き込んだ。
ピンクと白のガーベラの上に、粉雪が落ちて寒そうに震えていた。
来週には、三月。
春と呼ばれる季節になる。
私の春は、まだまだ遠い。